BABOK 序論の整理(前半)

BABOKでは6つの知識エリアに多くのページを割いています。

今回は、その6つのエリアに入る前に概要を簡単に説明します。

BABOKでいう「序論」と「BACCM」について触れます。

6つの知識エリア

BABOKでは以下の6つで知識領域を分けています。

  • ビジネスアナリシスの計画とモニタリング
  • 引き出しとコラボレーション
  • 要求のライフサイクル・マネジメント
  • 戦略アナリシス
  • 要求アナリシスとデザイン定義
  • ソリューション評価

各領域の関係は、以下のような絵で表現されています。

 

 

ただ、上記の絵では私は領域の関係がつかみづらかったため、以下のようなイメージを持って整理していました。

図のイメージの補足をすると以下の通りです。

1はチェンジの開始から終了まで関わります。

4はチェンジの前半

5はチェンジの中盤

6は最後に必ずありますが、戦略を立てる上で最初から関わることもあります。

2はテクニック軸でまとめたもので、すべての領域に関わる可能性があります。

3は要求の管理についてまとめたものです。

 

BACCM(Business Analysis Core Concept Model)

ビジネスアナリシスにおいて重要な6つの概念を上げています。

BABOKでは以下のような図で書かれています。

 

個人的には上の図には特別な意味はないと思っています(青色とオレンジ色の違い/上下の位置/隣・対角の位置)。

そのため、私は以下のイメージを持って捉えていました。(この6つの概念は当然覚えておくものとして試験に出ます。)

 

  • チェンジ:ニーズに応えるための変化の活動
  • ニーズ:問題や課題
  • ソリューション:ニーズを満たす具体的な方法
  • ステークホルダー:チェンジとの利害関係者
  • 価値:ソリューションがもたらすもの
  • コンテキスト:チェンジと相互に影響しあう周囲の環境

 

まずは、全体像を整理しました。

 

 

 

BABOK特有の用語

つまずきやすい用語

BABOKを読んでいくと一般的な言葉ではないにも関わらず説明が少ないものがあります。今後、BABOKのことを書くにあたっては前提事項として書いておかなければ、つまずくと思いますので、少しまとめます。

ただ、ここは個人の見解を多く含むため、私の記事を読み進める上での参考程度にしてください。

 

エンタープライズ: 会社、組織/システム群

エンタープライズという言葉はよく出ます。会社全体と読み替えるといいと思います。エンタープライズの視点という文脈では全体最適の意味です。

 

チェンジ:

チェンジもよく出ます。ニーズに対して変える行為という定義です。

次のイニシアティブとの違いがわからなくなりそうですが、イニシアティブの方が具体性がましているというイメージです。

 

イニシアティブ:広義のプロジェクト

BABOK上イニシアティブの定義が見当たりませんが、文脈からすると広義のプロジェクトと解釈しています。BABOKではプロジェクトはビジネスアナリシスの対象外ということを言っています。

BABOK上では、プロジェクトとはシステム開発をイメージしていると考えられます。そして、そこはビジネスアナリシスではないとして、ビジネスアナリシスのスコープから切り出しています。

一方、PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)では、プロジェクトの概念はケースバイケースで捉えていて、ゴールがある一回きりの活動はプロジェクトと考えています。そのため、PMBOKを先に勉強してからBABOKを読むと整合性が取れません。PMBOK的にはビジネスアナリシスもプロジェクトと捉えるでしょう。ただ、BABOKでは、これ(ビジネスアナリシスプロジェクト)をイニシアティブと呼んでいると思われます。

 

ソリューション:システム、その他解決策

ソリューションは8割システムと読み替えてよさそうです。BABOKの書きっぷりからシステムをイメージして書いていると推測できます。ただ、解決策はシステムではないというケースも念頭に置いていることから、残り2割でシステム以外もあると頭の片隅に置いておいてください。システム以外の例としては、プロセス改善などです。

 

要求アーキテクチャ:要求一覧

アーキテクチャという言葉から勝手なイメージをいろいろしてしまいますが、おそらく要求をすべて一覧にまとめたものです。すべての要求であるため、レベルの異なる要求があり、それらの関係性が整理されているものです。

 

フィーチャー:要求する機能

これも特に説明がなく使われている言葉ではないかと思います。私は、「要求する機能」と読み替えています。


ワークショップ/ブレインストーミング/協働ゲーム

BABOKの記載を読んでいると、自分なりのイメージがマッチしないことが多々ありました。ワークショップを広い概念で捉えていたため、テスト問題で選択肢があるとたびたび混乱しました。テクニックの記載を読み比べても結構混乱します。

個人的なポイントは、ワークショップは打ち合わせと読み替えるとマッチする気がします。

 

ビジネス能力分析
初めて聞いた言葉で少し混乱しました。組織の能力を整理したものと理解してください。詳細はぜひBABOKをご覧ください。例を入れてそれなりに説明のページがさかれています。

 

まずは、このような理解でBABOKを読んでみてください。

CISA合格体験記

 

CISAとは

正式には、Certified Information Systems Auditorです。(シサと読むようです)

ISACAによるシステム監査の資格です。

この資格の特徴は試験に合格しても資格取得とはならない点です。試験を合格した後に資格の申請をし、それがパスすると資格取得となります。

個人的には後段の資格申請の方がハードルが高かったです。(申請の仕方がわからない)

 

学習期間

  • 2.5か月
  • 97時間

いつでも受けられるため、集中的に学習して臨む方がよさそうです。半年ぐらいで計画を立てていた人は、勉強も最後まで続かず受験はしていませんでした。

 

学習方法

  • テキスト(レビューマニュアル)の読みこみ
  • 問題集を解く

CISAは、ISACAが問題集を発売しています。試験を行う側が問題集を出すという少し珍しいケースだと思います。また、試験を受けるにあたり研修が必須条件となっていないため、完全に独学で勉強しました。私の周りも独学で受けている人が多かったです。

勉強の仕方は以下の方法で問題集を3回解きました。

1回目

  • 章ごとにテキストを読む
  • 章ごとに問題集を読む(問題を見てすぐに解説を読む)

2回目

  • 問題集を解く(間違えた問題に付箋)
  • 理解していないポイントをテキストで確認。

3回目

  • 2回目に間違えた問題を解く
  • 理解していないポイントをノートに書く。

公式の問題集を使用していることもあり、独学で受験することには不安はありませんでした。

 

試験

試験の仕方はCBAPと同じPSIでの受験でした。

テストセンターで受験するには平日限定のため、今度もオンライン受験にしました。

感想は、問題集の内容がそのまま出る問題は1問もなかったです。

むしろ、キーワード的には同じでもフォーカスする観点が違うため、あまり理解せずに問題集を解いていた人は引っかかる可能性が高いと思いました。

ただ、あまり長文の問題は多くはなく、時間には余裕がありました。(問題集で時間の感覚を掴んでおくと本番でうれしい効果が出ます。)

 

資格申請

この試験も実務要件があります。ただ、CISAの章立てのいずれかの領域で良いため、システム監査自体の業務経験がなくても申請はできるようになっています。

そして業務経験を証明する人(2名)からのサインを必要とします。私の場合は、転職後の年数が少ないため、転職前の人にサインをもらう必要がありました。

私がつまづいたのは、サイン(署名)の仕方でした。

申請フォーマットがPDFなのですが、入力箇所にタイプできるようになっており、どのようにサインすればよいかわかりませんでした。電子署名のようなことができるようですが、私は経験がないためさっぱりわからず、そのような状態で他の人にサインを依頼することもできず、無駄に時間を過ごしていました。

先に資格申請が完了した友人が手書きサインで申請したと言うので、私もPDFを紙で印刷し、ボールペンでサインをもらい、スキャナでPDFにして申請しました。(電子ファイルのアップロードフォームが用意されています。)

費用

この試験はお金がかかります。円安の時期に申し込んだこともあり、10万円以上かかりました。。

  • テキスト・問題集 約5.5万
  • 受験費用 約10万
  • 資格登録費用 約0.6万

なお、会員になると上記の費用が安くなるように設定されています。ここは、CBAPの時と同じですね。

 

最後に

私の経験が皆さんのお役に立てば幸いです。

ビジネスアナリシス

ビジネスアナリシスとは

BABOK上で定義はされていますが、最初はオフィシャルな定義を読んでもわかりづらいのではないかと思っています。一方で、独りよがりな定義をしても意味がないので、BABOKの定義に配慮しつつ、私なりの言葉で表現すると、

 

ビジネスアナリシスとは、

ビジネスニーズに対してソリューションを提示する活動

 

です。提示だけとするとイメージ的に上流だけですが、BABOKとしては、ソリューションが実現された後も関わるんですよね。ただ、ソリューションを実現するのはプロジェクトマネージャなんですよね。ここら辺を厳密に表現することが難しくて、端的に表現する人が少ないのではないかと思います。

ただ、私の表現は、現場でビジネスアナリストが行っていることのイメージとはマッチすると思います。

 

ビジネスアナリストとは

ビジネスアナリシスを行う人ですね。

 

BABOK的には、BABOKに定義するタスクを行う人のことを指します。

そして、組織や肩書は問わないという点がポイントです。

現場的には、ビジネスアナリストはだいたいITコンサルのイメージです。ただ、SIerの人がスクラッチ(オーダーメイド)でガッツリビジネスの人と要件定義をするときは、ビジネスアナリストの仕事をしています。また、事業会社の情報システム部門の人がビジネスサイドにヒアリングをしてビジネスニーズの整理からシステム化構想をすることもあります。このように、立場は関係なく、ビジネスアナリシスをする人はビジネスアナリストである、ということですね。

 

 

 

 

 

 

 

CBAP合格体験記

SIerからITコンサルタントに転身したものです。

CBAPに無事合格したため、体験記を書きたいと思います。

 

CBAPとは

正式には、CBAP ®The Certified Business Analysis Professional™(以下、CBAP)です。(シーバップと読むようです)

IIBAによるビジネスアナリシスの認定試験です。

120問が出題され、制限時間は3.5時間です。ボーダーラインは公表されていません。試験結果からも推測できません。

ビジネスアナリシスが、経営課題があってそれを解決していく、というITコンサルタントの守備範囲と重なる領域のため資格取得を目指しました。(ただ、認知度は意外と低い?)

領域的に近いのがITストラテジストのようです。こちらは有名ですね。

PMPとプロジェクトマネージャ試験のような関係ですかね。

IIBA日本支部のHPを見ると、2020年2月5日時点で日本のCBAP取得者は108名203名だそうです。(2023.5.1確認時点で更新されていました。)

学習期間

  • 2.5か月
  • 92時間(正確に記録していました)

2週間ぐらい集中して試験に臨もうと思ったのですが、3か月かかりました。

私なりに分析すると、①情報が少ない(周りに取得者がいない)、②オフィシャルな情報が英語のみ、③自発的な取得目標のため厳密な期限がない、といったところです。

学習方法

  • オンライン研修
  • BABOKの読み込み

CBAPでは出願する際に、研修を受講していることが必須条件です。独学でやろうとする人も何かしら認定された研修を受ける必要があります。オンライン研修は、受け取れる情報は少ないですが、価格がかなり安いです。

私は、独学スタイルでチャレンジしようと思ったため、オンライン研修にしました。研修でしっかり知識を身に付けたい人には、集合研修が向いていると思います。

市販の教材がないか探しましたが、v2(旧バージョン)の本はいくつかあるのですが、v3(現時点で最新)の本はありませんでした。そのため、BABOK(ビーエーボック)を読み込むという学習方法をとりました。

IIBA会員

金額はコロコロ変わるようですが、IIBAの会員になった方が、試験料の割引が適用され、結果として安くなるようです。(費用が変わってもその設計は維持している様子)

試験料の割引以外にも勉強会の参加の機会などが得られるようです。

会員にならなくても出願は可能です。

出願

この試験が厄介なのは、出願方法にあると思います。研修会社も最新情報を把握していないのか、もらった情報が古く混乱しました。

基本的な流れは以下の通りです。

 

 出願(支払い)→申請内容記入→試験申請→試験日設定→試験

 

以下の受験資格を満たす必要があり、それを満たしているという記入を出願時にします。

  • 直近 10 年以内に 7500 時間以上のビジネスアナリシス業務経験(+6つの知識エリアのうち4つの知識エリアで900 時間以上の業務経験)
  • 直近 4 年の間に 35 時間以上のProfessional Development を終わらせている(研修のこと)
  • 2 人の推薦人

私は、転職した後にチャレンジしたため、前の会社の経験が多くそれを証明する人とコンタクトをとるのが心理的に面倒で、推薦人探しに少し不安を感じていましたが、推薦者は出願者のすべてのキャリアを保証する役割ではないようです。そのため、現職の上司等に推薦を依頼しました(とは言っても推薦人が起こすアクションはなく名前を使わせてもらう程度)。推薦者とは別に、業務経験時の上司の連絡先(メールアドレス)を記入する欄はありますが、基本的には連絡はいかないようです(研修会社情報)。ただ、推薦人2人にも連絡先記入欄があり、そちらにはAudit(ランダムで審査)に当たると、裏取りの連絡が行くようです。PMPと同じような感じですね(よく覚えていませんが)。

(私の場合はAuditに引っかかることなくスムーズに申請が通りました。通過する場合はすぐ通過します。)

英語でのキャリア説明

実務経験を記載する欄(Work History)があるのですが、ここに10年間のビジネスアナリシス業務を案件別に記載し、それぞれの領域別実務時間を記入します。これまでの業務を棚卸し、BABOKのフレームに当てはめて時間算出しました。概要欄に何を書くか、あれこれ悩みながらまとめたのですが、英訳して登録しようとしたところ、文字数制限があり、時間を無駄にしてしまいました。

ボリューム的には3行分ぐらいしか書けないです。そのため、どんな課題があって、どんなことをしたか、ぐらいしか書けないという印象です。

日本語受験

研修会社からの情報によると、IIBAのポータルサイト上から普通に申請を進めると英語受験となってしまうということでした。また、日本語試験だと英語受験より高いなどという情報もありました。しかし、実際はどちらも異なります(研修会社の情報が古い?)。IIBAのポータルサイト上で受験料を支払い、その後の試験日設定を行う中(PSIという試験会社のサイトに飛びます)で試験の言語を指定する欄があります。そこで日本語を指定すれば問題なく日本語受験できます。

自宅受験

試験日設定の時に、どこの会場で受験するか選べます。試験会場の方が集中できるかとも考えましたが、試験会場のほとんどが狭くあまり集中できないと感じたため(他の試験の経験上)自宅受験を選択しました。

以前、コロナが広まり始めた時期にITILの試験を受けたことがあり、その時は自宅受験一択でした。その自宅受験の経験もあり、英語でのやり取りが若干面倒だとは思いつつも、CBAPの受験も自宅受験にしました。

ITILの時は、試験開始前にビデオ通話で説明があり(ゆっくり話してくれる)、試験中はほぼノーコミュニケーションでした。今回のCBAP(PSI)では、オンラインでのやり取りではなく、ガイダンスに従って、パスポートを見せたり、部屋の様子を録画したり、という形でした。一通り、ガイダンスに沿ったアクションを行った結果、OKなり不備を指摘されてやり直すという形でした。音声でのやり取りは一切なく、チャットのみのやり取りだけでした。

私の場合、パスポートをWebカメラで撮影してもピントが合わずに試験前確認のOKが通りませんでした。そのため、別のノートPCから再接続してチェックのやり直しを行いました。(2時間近く試験開始が遅れました)

事前にPCのスペックやAppの権限変更をする必要があるため、自宅受験をする人は、事前に複数PCでアクセスできるようにするとよいと思います。

試験

BABOKにある記載を問うような問題はなく、かなり応用的でした。ケースは40問近くあり、それ以外の問題もケースほどのボリュームではないですが、説明内容からどのタスクの話をしているか読み取り、それに紐づくインプットやアウトプット、ツールなどを思い出せないとつらいと思いました。ただ、経験的常識から答えられるものもあるかなと思いました。(正解の自信は持てませんが)

最後に

情報量が少ない試験のため、私の経験が皆さんのお役に立てば幸いです。